育休先生。

「イクメン」という言葉がなくなる日を目指して。

組体操は本当に必要?ハイリスクを負ってまでやる価値はあるか。

 教師になって3年目の9月のこと。大阪府八尾市の中学校で、10段ピラミッドの事故がありました。それまではなんとなく「6年生はみんなするもの」だと思っていた自分の浅はかさを恥じ、考え方が180度変わりました。

 

<目次>

 

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まずは事故動画をご覧ください

 youtubeで100万回以上再生されている、Fest PEさんの動画をお借りしてきました。

 右手がありえない角度に折れてしまっている男の子は、2分10秒頃から。閲覧注意です。


大中ピラミッド(大阪府八尾市立の中学校における組体操事故)

 

危険な技に挑戦するのが美学?

 この動画で個人的にもう一つ気になるのが、1分30秒あたりでピラミッドが崩落した後の観客の拍手です。これだけの高さのものがあの速度で崩れたのであれば、まず最初に来るべき感情は「だ、大丈夫!?」であるハズです。

 それが、拍手。「失敗はしてしまったけど、よく頑張った!そのチャレンジした過程が大切なんだよ!」とでも言うような。

 

 ボクは学校教育において、「危険なことに挑戦したから拍手という評価の仕方は不適切だと思います。「難しいことに取り組んだから拍手」なら良いと思いますが。

 

組体操に取り組む大前提

 例えば、内村航平選手がF難度の技に成功したら、拍手。分かります。

 それは彼が、

体操という競技を好み、

専門的な知識を持ったコーチやスタッフの下で、

リスクを極力減らすための相当な練習量を積んでいるからです。

 

 しかし、組体操において、上の①〜③は満たされているのでしょうか。

 具体的に言うと、

果たして、子ども達全員が組体操をしたいと思っているのか?

教員は専門的な知識を持ち、実践できているのか?

それぞれの技を成功させるのに十分な練習量は、確保されているのか?

 

 ボクは、全て「NO」だと思います。

 

自分自身の昨年度の実践から

 ボク自身は昨年度、初めて6年生の担任をしました。

 

 大阪市では2016年2月9日、全国に先駆けて「タワー」と「ピラミッド」の禁止を決定しました*1

 

 そこで校内の会議でも、「タワーとピラミッドは実施せず、(6年生の例年程度の演技時間を確保するために)組体操以外の要素を入れよう」ということになりました。

 

 そこで、共に学年を受け持っていた先輩とアイデアを出し合い、当時の6を意識して、

 1.パントマイム(笑いどころ多数)

 2.ダンス(難易度MAX)

 3.組体操(制限の範囲内)

 4.ダンス&組体操(フィナーレ)

という、例年とは違う流れを考案しました。

 

 ただ、正直、驚いたのは子ども達の反応です。低学年のうちから組体操を見て育ったことで、組体操への強い憧れを持つ児童が大変多かったのです。

 子ども達からは、「なんでピラミッドできへんの?」「6年生になったら組体操の大技ができると思ってたのに。」などの声が多数聞かれました。

 

 ですが、子ども達の安全には代えられません。

 「ピラミッド」や「タワー」が禁止になったこと、それに至った背景、安全が一番大切だということ、そして、「これまでとは違う演技を作りたい。その変わり目となる記念すべき最初の年にしたい。」という熱い思いを伝えました。

 

 そこから気持ちを新たにした彼らは、目の色を変えて練習に取り組みました。そして本番では、挑戦的なプログラムを見事に演じ切りました。

 後日の振り返りでは、これまでとは違うオリジナリティーのある演技ができたことへの満足感を口にする子がほとんどでした。

 

組体操じゃなきゃダメ?

 組体操推進派の人はよく「仲間との絆が深まる」とか「成功したときの感動は格別」などと言いますが、絆や感動は組体操でなくても味わえます。

 過去長きにわたって、教員や保護者が「絆・感動=組体操」という固定観念から抜け出せなかっただけで、別の可能性を探ってこなかったのではないかと個人的には思います。

 

 「危険なことに挑戦したから拍手」という古き悪しき慣習を断ち切り、子ども達が充実感達成感を味わえる別のプログラムを考えていきましょう!

 

《以下、脚注》