育休先生。

「イクメン」という言葉がなくなる日を目指して。

一言もしゃべらずに「3けた×2けた」の授業をした日の話。

 実は過去4年間で1度だけ一言もしゃべらずに算数の授業をしたことがあります。ボクの中では歴史的大事件でした。賛否両論あるかもしれませんが、日頃の積み重ねが生きた機会でもありました。

 

<目次>

 

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開始後5分間のザワザワ

 

「これから、5時間目の学習を始めます!よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします!」

 

 32の教室では、元気に授業が始まりました。ですが、号令からしばらく経っても、普段の授業より少しザワザワ。5時間目は、ついこうなりがち。みんなで給食を食べて、昼休みに遊んで、掃除もして。その余韻というのか。

 

 このままではふわ〜っとした空気のまま進んでしまうと感じたボクは、ただ子ども達の気を引きたい一心から完全なる思い付きで、一言。

 

よし!先生はこれから、一言もしゃべりません!

 

…えっ!?」 先ほどまでとは違う意味で、ザワつく子ども達。

 

だから、先生の口や手の動きとか、表情なんかもよーく見といてや!

 

 先ほどまでが嘘のように、子ども達は目を輝かせてボクの方を見ています。もうこの時点で、作戦の目的はほぼ達成されています。

 初めは、ほんの5分ぐらいのつもりでした。なんせ思い付きでしたから。しかし、いざ始めてみると、これがまた面白いのです。

 

 本当に面白いので、つい「もうちょっといけるかな… ??」「あとちょっと… !!」と思っているうちに残りの40分間が過ぎ、キーンコーン、カーンコーン… !!

 

「君達が声を出すのはアリ。」

 …と言っておいたのが、これまた大成功でした。

 やはり子ども達が30人も集まると、理解力や勘の良さには個人差があるもの。もし「全員、声を出すのは禁止や!!」とかなんとか勢いで言ってしまって、全員に伝わったかどうかも分からないままに進めていくのはさすがに無責任です。

 そこで、「先生が言おうとしていることが分かった人は、みんなに聞こえるように呟いていいよ。」と言っておいたのです。

 

 すると、ボクの口元表情ジェスチャーから正しいメッセージを受け取れた子が、

…誰か分かる人は手挙げて、やって!

右上に繰り上がりを書け、って言ってるんちゃう?

うるさい、って怒ってるで(笑)

などと、みんなに伝達してくれるのです。

 ボクはそれを見て、さらに「その通り」か「ちょっと違う」かをジェスチャーで示してあげたので、伝達ミスはほぼ無かったと思います。

 

作戦成功の要因は?

 あくまでボク自身の分析(予想)ですが、あえて挙げるならば、以下の3点です。

  1. 「一言もしゃべらない」というゲーム性を楽しめる、3年生という年齢だった
  2. 普段から算数には、一貫した授業の流れがあった
  3. 前日に「2けた×2けた」の学習をしていたので、基本的な運びは同じだった

 なので、これがもし「6年生のクラス」や「社会科の授業」であれば、「一言もしゃべらない授業」は成立しなかったハズです。

 また、試していないのであくまで感覚的にですが、24年生でも上手くいくのではないかと…🎶

 

その効果とデメリットは?

 「子ども達の集中力が普段より格段に高い」。効果については、まさにこれに尽きます。

 先生が「しゃべらない」ということは、自分が先生をよく見ておかなければ指示を理解できません。それにゲーム性も手伝って、特に指示の最中はほぼ全員が集中してこちらを見ていました。

 

 デメリットとしては、「子ども達一人一人に声かけができないこと」。まぁ自分が作ったルールなんですが。いわゆる「自分で自分の首を締める」というヤツです(苦笑)

 それには、普段通り「早くできた子は、周りの困っている子に教えてあげる」方法で、子ども達の手を借りてなんとか対応しました。彼らにはいつも、「人に分かりやすく教えることは、自分で問題を解く以上に難しくて良い勉強になる」と伝えていました。

 

 とはいえ、気持ちとしては効果の方が大きかったのは言うまでもありません。何と言っても「本当に一言もしゃべらないで授業ができた!」という、子ども達との間に生まれた謎の一体感(笑)。

 そして、日頃の授業の流れやボクの説明・指示の仕方が子ども達にしっかり浸透していたことを確認できた、非常に良い機会でした。

 

 日々の授業がマンネリ化したり子ども達がイマイチ集中できていないと感じたときの『奥の手』に、皆さんもぜひ。